1156年、朝廷の皇位継承問題などの内紛に源氏と平家の武力が加わり起こった政変(保元・平治の乱)を制した平清盛は、後白河法皇の覚えもめでたく官位を上り詰め、武士として初めて太政大臣となった。嚴島神社の社殿の造営、日宋貿易で国を富ませ、大和田の泊を開港し現在の神戸港の礎を築くなどの功績を上げる一方で、一族の者を次々と朝廷の要職につけ、国の約半分を平家一門の領地とした。
その後、平家を討った義経も兄、源頼朝に討たれ、その頼朝もまた、鎌倉幕府成立からわずか4年で世を去った。
清盛の生きた平安末期は日本の王朝文化の極まれる頃であった。その中に育った平家の公達らは姿優しく、音楽を愛し、心のままに歌を詠んだ。そして、400年の平安の世を打ち破る戦。平家物語の合戦シーンは、まるでそこに息遣いが聞こえるかのような臨場感で、血で血を洗う哀しみと、人が生きる力強さを語りかける。
貴族の世から武士の世へ…移りゆく激流のなかを生きた人間のドラマ。いつの世も変わらない諸行無常の理をリアルに描き出す。